この仕事に、興味を持つきっかけにもなった友人が亡くなった。
亡くなる直前まで、つたない施術だが必要としてくれた友人の死。
これをきっかけに、大きな変化が!
よく映画やドラマでありそうな話です。
しかし、映画やテレビのようには、いかないんですね、これが。
とにかく、そのままじゃいけないと思っているが、この時点では、習い始めた整体を習得することしか、考えていない。
まだパソコンなど持っていない、世にどんな治療法があるかも、まだあまり情報がなかった。
とりあえずは、何かの縁で出会ったTPA整体というものを、まずは身につけよう。
TPAとはトータルプロポーションエステティクスの頭文字である。
意味はすいません。よく覚えていない。
これはその創始者の鶴田先生がもともと中国人の先生から気功を学んでいた。
その過程でなのかは忘れたが、とにかく仙骨を非常に重要視していて、患者の仙骨に手を当て気を送るという治療を行っていたところ、自分の肩が痛いなと感じた。
はて、俺こんなところ痛かったっけ?もしかしてと、その自分の痛みを感じたところと患者の同じ場所(だから肩か)を指圧した。
すると、今度は違う場所に痛みを感じる。患者の同じ場所をぐい~と指圧する。という具合に次々と感じる場所を刺激したところ、30分ほどで、その患者さんが今までにないほど楽になったそうです。
それをきっかけに、仙骨に手を当てて気を送るのではなく、仙骨に手を当てて相手の体と同調することで、刺激すべき場所がわかり、そこを治療していくという、これがほぼすべてです。
月2回。1回2時間の講習。2時間のうち、毎回初めの1時間ぐらいは気功の訓練。
残りの1時間が、座学で上記のこの整体の特徴だったり、また解剖(せいぜいよく使う筋肉の名称・機能ぐらい)だったり、実技だったりした。
なにより、まず気功をしっかりやり、自分の体で感じ取れるようにならないと始まらない。
問題部位を感じ取れるようになると、つぎはその部位を刺激するのだが、刺激の仕方にテクニックはなかった。
基本的には、鶴田先生が改良した超音波治療器で刺激する。
まあ、これが痛いこと痛いこと。
この他に、巻き込み肩、股関節、肘、膝の捻じれなどの矯正があったが、けっこう強引にねじれを戻していくやり方で、だからまず超音波治療器で硬縮した筋肉を解放してからやるように、という説明だった。
だから超音波治療器にしても、矯正にしてもかなり痛かったのを覚えている。
あくまで、僕が習った頃の話です。その後、あまり痛くない治療器を使うようになったような話も聞いたことがある。
なにはともあれ、この整体の一番肝心なところは、患者の問題部位を感じ取れるようになること。それも治療すべき順番で感じ取れるようになること。そのために気功の訓練をすること。
ほぼ、これに尽きると思うのですが、途中途中で気功も先生のチェックがあり、合格すると先へ進むのですが、一応合格して先へと進んでいくのですが、いつまでたっても当時の僕自身はこの感じているものが正しいのか、という自信が持てず結局やめてしまいました。
しかし、この体で感じ取る方法自体が悪いのではありません。当時の僕が使いこなせなかっただけです。現に今はちょくちょく使います。
当時の僕の一番の問題は、触診能力の低さ、検査、再検査などが出来ないため、感じたものに施術してもそれが正しいのかどうかのフィードバックがないことです。
今は逆に施術中にふと感じ取ると、施術し再検査、良い変化が起こってれば良し。ということでけっこう重宝しています。
だから今となっては、これも全然無駄じゃなかったなと思うわけです。
よく治療技術のDVDやセミナーを受けて、「あのテクニックは使えない」という、なにかテクニックがたいしたことないような言い方には、違和感を感じるわけです。
今の自分には使えないだけで、ちょっと視点が変われば、非常に役立つかもしれない。
だから「使えない」というのを聞くと、この頃の自分を思い出し、使いこなす力や工夫がないんだなと感じます。
ただ、こういうふうに考えるようになるのは、ずっと先の話で、僕の迷走はまだまだ続きます。