最近読んでる「身体はトラウマを記録する」
まださわりぐらいしか読んでないが、非常に面白い、600ページ強の本ですが50ページぐらいまででの気になったとこを少し。
私の崇敬する恩師は、教科書は疑ってかかるようにと学生に教えた。本物の教科書は一冊しかない、それは患者だという。彼らから学べることだけをーそして、自分自身の経験から学べることだけをー信頼すべきだ、と。
他者から与えられた苦しみと向き合うだけでもつらいのに、トラウマを負った人の多くは、その状況下で自分自身がしたこと、あるいはしなかったことについて感じている恥ずかしさに、心の奥底でなおいっそう苦しめられている。
トラウマを負った人は他の人とは根本的に違うふうに世の中を眺めていることもわかった。
トラウマを引き起こした出来事について細かい部分まで正確に語るように勧めると、問題解決の手助けになるどころか、図らずも本格的なフラッシュバックを招いてしまう事が多かった。
トラウマは単に過去のある時点で起こった出来事ではなく、その体験によって心と脳と体に残された痕跡でもあることを私たちは学んだ。その痕跡は、人体が現在をどうやって生き抜いていくかを、引き続き左右し続ける。
私たちの偉大なる恩師は、一年目は精神医学の教科書を読まないようにとしきりに言った。真偽の怪しい精神医学の診断を私たちが当てにしてしまって、現実の認識が曇るのを望まなかったのだ。
人間の苦痛のほとんどは愛と喪失にかかわっており、治療にあたる者の仕事は、喜びも悲しみもすべて引きくるめて、人生の現実を人々が「認め、経験し、その重みに耐える」のを助けることだと私たちに教えた。
「我々の苦しみの最大の源泉は、自分自身に語る噓である」と彼は繰り返し言っては、自分の経験のあらゆる面に関して自分に正直であれと強く私たちに促した。人は自分の知っていることを知り、感じているものを感じない限り、けっして良くなれないとしばしば言った。
まだ50ページほどの間に考えさせられることがたくさんあった。この先も楽しみです。