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祖父が逝く

祖父が水曜日から呼吸が苦しくなり(肺気腫)入院していた。

病院の先生から今日明日がやまだと聞いたので昼休憩時に病院に行く。

もう言葉は出ないが、呼吸が苦しそうだった。

その姿から、夜までは持ちそうにないなと感じた。

午後の仕事が入っていたので、父や叔父にまかせて帰る。

午後4時ごろ、病院から電話がはいる。

看護師から、もう呼吸が止まりそうですとのこと。

とりあえず今施術している患者さんが終わって、

連絡とろうとすると、もう母が帰って来ていて、

6時に病院出て帰ってくるとのこと。

あ~亡くなったか。

99歳でした。今度の正月で100歳になる手前でしたね。

それからもう一人施術して終わると、祖父が帰ってきていた。

顔を見ると、いい顔をしている。

(良かったな。やっと楽になったな)

祖父は12歳で奉公に出たそうだ。

それから戦争に行き、帰ってきてから、

同じく戦争で亡くなった兄の妻(祖母)と結婚。

その時点で父は生まれていたから、僕と祖父は直接、血のつながりはない。

まあ、僕が生まれるはるか前の話で、

僕にとってお祖父さんにかわりはない。

思い出されるのは、子供の頃、

父が悪い仲間と遊び歩いていて、家にあまりいなかったので

祖父と祖母がよく車で、いろんなところに連れて行ってくれた。

どこに行ったか記憶にないが、車に乗って走っている記憶だけはある。

ある晩、喧嘩した父と母が家から出ていったとき、

祖父が、「お父さんやお母さんが帰ってこなくても、わしがちゃんと面倒見てやるけん」と僕や弟に励まそうといったのだが、

何も知らない僕らは、その話を聞いて、そんなに深刻なのかと余計不安になったのを覚えている。

まあ無事帰ってきたから何事もなくすんだのだが。

あとそんなだから小さいとき海にも祖父が連れて行ってくれたことがある。

そのとき、僕が海につかってちょうど海面から、頭が出るかどうかの深さで、ぴょんぴょんと浮いたり沈んだりして遊んでいた。

それが急に深くなり、ぴょんと跳ねるごとに、徐々に頭が出なくなってきた。

そう溺れかけたのです。

そのとき、砂浜から怒涛の如く祖父がかけてきて溺れている僕を引き上げた。

たくさんの海水浴客の中で、周りは気づかなかったようだが、祖父は気づいたようだ。

怒涛の如く、飛び込んできた初老の男性に、周りの海水浴客が何事かとビックリしていた。

そんなことが今、思い出されます。

タバコを止め、酒もほとんど飲まず、何一つ贅沢をせず、我が家を守ってきた祖父。

ただただ感謝しかない。

本当にありがとうございました。

安らかに眠ってください。

当院は9月5日まで臨時休業となります。

大変ご迷惑おかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

 

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