当院に通ってくれていた90代男性。
このブログにも何度か登場している。
昨年11月末から通院。
右上腕から痛み出し、徐々に全身に広がる。何か持たないと起き上がれない。膝が曲がらずしゃがめない。腰が伸びない。前立腺にガンがあり抗がん剤使用。夜中に3~4回尿に行くので体の痛みが非常につらい。
という事でしたが、通院するにつれ、体の痛みが減り、腰が伸びるようになり、非常に楽になったと喜んでくれていた。
その経過を何回かブログに書いたと思います。
ちょうど3月ごろには、施術後に普通に靴履いて、しゃがんで手で靴のかかとをすいっと治したのを見て、息子さんが「自分で手で履けてるが!」とビックリしていた。「最近、体調がいいんじゃ」と言っていた。
だいぶ体調もよさそうになったので、NST研究会のフェイスブックにも症例として報告した。
しかし、その後、4月に入り体調を崩された。
熱が出て、なかなか引かない。それで4月後半の予約をキャンセルして、病院連れて行ってみますと息子さんより連絡が入る。
僕は感染か何かで熱が出て、少し肺炎でも起こしたか、少し体調が落ち着けば、また来てくれるだろうなどと考えていた。
先週息子さんから土曜日に、夫婦で施術の予約を頂いた。来られたら様子を聞こうと思っていた。
そして土曜日に、ご夫婦で来院された。
息子さんから「先生、父が亡くなりました。長いこと、お世話になりました」
僕は亡くなるとは、思ってもいなかったので、「ええっ!」一瞬頭の中が真っ白、フリーズしてしまった。
つい1か月ほど前まで、お会いしていたのに。
ご夫婦で、いろいろ説明してくれた。
「あの後、普通の病院ではわからず、大きい病院何件目かでやっと難病にかかっていたのがわかりまして、多発性、、、血管炎、、だったかな」
「でもそこの検査で、左腎臓が真っ黒になってて、あれだけいろいろ病院回って、腎臓が悪いなんてどこも言わなかったのに、小野先生だけが左腎臓が悪いって言われてたから、父も小野先生は名〇じゃ、名〇じゃ、言うてました」
「ここに来るのを、本当に楽しみにしてて、来れないときがあるとすごいがっかりしてましたからね」
「でも本当にいい最後でした。亡くなる数日前から仏さまみたいになって、みんなにありがとう、ありがとうって。いい人生じゃった。何にも思い残すことはないって、孫たちもかえってきてちゃんと話せましたし」
「小野先生にも、よろしく伝えてくださいと言ってました」
病気を治すことはできなかったかという申し訳なさと、それでも最後の数か月、痛みを和らげることができ、良い最期を迎えるお手伝いは出来たのかなといろんな感情が沸く。
それでご葬儀も終わり、疲れが出たそうで、お二人で挨拶を兼ね施術を受けに来てくれたそうです。
あれから二日が経ち、思い出されるのは、あのおじいちゃんの
「ここに来ると楽になる、ありがとうございます」と言っていた笑顔を思い出すと少し涙が出そうになる。
今はただただ感謝しかない。ありがとうございました。